ときどきわざと間違えよう

二人で読み合わせを行うときの、緊張感を保つテクニックです。

読み合わせ校正での読み手の役目は、ニュースキャスターのように原稿を正確に読むことではありません。内容の共通項目などのチェックをしながら、消し手が誤りを見つけられるように工夫して読むことです。そして、ときどきわざと間違えましょう。

普通に読んでいても間違えることはあります。でも、校正を始めるときに「ときどきわざと間違えます」と宣言すれば、消し手は読み手がわざと間違えたときに反応できないとバツが悪いので、気が抜けなくなります。

地名、店名、人名などの固有名詞は、どんな字が使われているかを消し手に正確に伝えましょう。とはいっても、たとえば「弘前(ひろさき)」を、有吉弘行の「弘」に前後ろの「前」なんて言うと、聞いているほうはこんがらがってしまいます。そこで、弘前なら「ひろまえ」、苫小牧(とまこまい)なら「とまこまき」、栂(とが)は「木へんに母」、不二家は「ふじいえ」、canonは「キヤノン」というように、わざとヘンな読み方をして、すぱっとわかりやすく伝えましょう。

以上のように、読み手の工夫次第で、読み合わせの作業効率はぐんと向上します。また、消し手は誌面を塗りつぶしながら、読み手の読み上げた内容を復唱するなり、相槌を打つなりしましょう。何も反応がないと、読み手は本当に合っているか不安になります。読み合わせは、読み手と消し手の共同作業という意識が必要です。